ブログでは度々紹介していた、大阪の海外観光客の急増の話題。
日本経済へのプラスにはなっているのだろうが、良い事ばかりではないのが厄介な点です。特に中国人観光客のマナーの悪さは目立っています。
昨年1年間に大阪府を訪れた外国人旅行者が373万人と、前年の262万人から大幅に増え、過去最高となる見通しであることが2日、観光庁や日本政府観光局の統計から分かった。
府と大阪市、経済界が出資する大阪観光局は、昨年の目標を320万人としていたが、円安に加えて関西国際空港へのLCC(格安航空会社)の増便などが影響した。特に中国からの旅行者が前年から倍増して100万人を突破し、全体を押し上げた。
都道府県別の外国人旅行者数は、日本全国の外国人旅行者総数に観光庁が算出した個別の「訪問率」をかけて計算する。通年のデータは3月末に公表されるが、最新の四半期データをもとに算出すると、平成26年に大阪を訪れた外国人旅行者は373万人だった。
国・地域別では25年に52万人で3位だった中国が100万6千人で首位となり、韓国、台湾、香港が続いた。トップ10には、経済発展が著しいタイやマレーシア、シンガポールなどの東南アジア諸国もランクインした。
中国からの旅行者が激増した理由について、大阪観光局の担当者は「昨年、中国のLCC『春秋航空』が関空に就航して旅客数が大幅に増えたことや、日中関係が落ち着いていることなどが影響しているのでは」と分析している。
政府による訪日外国人の消費動向調査(平成25年)によると、中国人観光客1人当たりが日本国内の買い物や飲食で消費する額は、国・地域別で最も多い約15万円に上る。
円安や中国の経済成長を追い風に、その傾向はさらに強まっているとみられ、大阪市内の主要な各百貨店の春節期間の外国人向け免税売り上げは、前年より3~5倍アップした。
30万~40万円を即決
中国人観光客らは実際に何を「爆買い」したのだろうか。
JR難波駅前の高島屋大阪店(同市中央区)で特に売り上げが多かったのは、ルイ・ヴィトン(フランス)やプラダ(イタリア)に代表される高級ファッションブランドの衣服やバッグだ。中国では輸入ブランド品の関税が高いため、日本で購入する方が割安になることが背景にある。
製品の信頼性が高い「メード・イン・ジャパン」も人気を集めた。日本製のひげそりや美顔器、そして日本茶などの高級食材。担当者は「富裕層は大量購入するだけでなく、自分のために信頼できる良質なものを手に入れたいという傾向が強い」と分析する。
「気に入った商品だったら30万~40万円するものでも即決で買っていく」と富裕層の購買力に驚いたのは、昨年3月に全面開業した日本一の高層ビル「あべのハルカス」(同市阿倍野区)に入る近鉄百貨店本店の担当者だ。
同ビルには海外の富裕層に人気の高いアメリカのホテル運営会社「マリオット・インターナショナル」系列のホテルが開業したこともあり、百貨店の免税売り上げは前年比約6倍と大幅にアップ。資生堂など日本ブランドの化粧品▽時計・宝石といった貴金属品▽ゴルフバッグ-などの高級品の売り上げが目立った。
全品免税を売りにするディスカウントストアのドン・キホーテ道頓堀店(大阪市中央区)では、日本製の菓子類や洗顔料といった土産になる商品を中心に大量購入する「爆買い」需要に沸いた。
時計・ネックレスを手で引っ張り…
一方で、大挙して訪れる中国人観光客らの非常識な行動やマナー違反に眉をしかめる人もやはり少なくなかったようだ。
「買い物をしてもらえるのはうれしいのですが、高級な商品を乱暴に扱われるのはちょっと…」
困り顔でこう話したのは、心斎橋筋商店街の中で時計やアクセサリーを販売する貴金属店の女性従業員だ。
通常、ガラスケースの中で展示している商品は高額なため、手に取りたいという客には丁寧に扱うよう言葉を添えて実物を渡している。しかし中国人観光客の中には、大声で話しながら仲間うちで次々と商品をまわし見したり、頑丈さを試すつもりか時計やネックレスを手で引っ張ったりする人もいた。
「やめるよう促しても『何が悪いの?』という反応なので…。こちらにできるのは壊されないよう注意を払うことくらいでした」とため息をついた。
また、たこ焼きやいか焼きなど大阪名物の食べ歩きができるテークアウト型の店舗が多い道頓堀商店街の飲食店従業員の男性は「行列に割り込みをした、していないの小競り合いはしょっちゅう。中国の人同士で口げんかしていることもあった」。
ほかにも、ごみのポイ捨てや指定場所以外での喫煙、人混みでスーツケースや荷物を振り回して歩く-といった中国人観光客らの振る舞いを目にしたことがある人は少なくない。中には「真っ昼間に路地で立ち小便をする姿を見た」という声も聞かれた。
バス待ちの集団たむろ
昨年春ごろから、外国人観光客を乗せた観光バスが路上に長時間駐車をしたり、二重駐車をしたりして道路混雑が問題となっていた堺筋の日本橋にある乗降スペース。
大阪府警は春節休暇の観光バスラッシュに備え、直前の2月16日に乗降スペースを2台分から5台分に拡張するとともに、パーキング・チケット制度を廃止し乗降のための短時間停車のみ認める新たな規制を始めた。
果たして効果はみられたのか。2月20日午後、日本橋の乗降スペース付近をウオッチングした。
5分と間を置かず、ひっきりなしに観光バスが訪れ観光客を乗降させていく。誘導棒を持った警察官がきちんとスペース内に止めるよう誘導したり、運転手に速やかな移動を呼びかけたりしているため、二重駐車などの混雑はほとんど起きない。比較的スムーズにバスが入れ替わっていった。
大阪府警南署の担当者によると、春節期間中は1時間当たり最も多い夕方の時間帯で、普段の5~10倍に上る約50台のバスが乗降スペースを利用した。「規制変更の周知の意味も込めて観光バスが多い時間帯は警察官が付きっきりで誘導しており、目立った混雑や苦情は起きなかった」といい、新たな規制は一定の効果を生んだようだ。
一方で、乗降スペース付近ではバスの迎えを待つ中国人観光客らの集団がたむろし、観光にはしゃいで疲れてしまったか大きな荷物をそばにおいて地面に座り込む人の姿も。歩道が人であふれかえり、仕方なく車道に回り込む通行人や自転車の姿が目立った。
乗降スペースや観光バス駐車場を管理する大阪市の担当者も、増加する外国人観光客や観光バスに対し、「待合所や駐車場の数が絶対的に足りていない」として、新たな対応策を検討。新年度予算では5400万円を計上し、JR新今宮駅北側の市有地を50台分の観光バス駐車場として整備して夏ごろまでの運用を目指す方針だ。
「春節爆買い狂騒曲」は幕を閉じたものの、中国などアジア圏からの観光客は今後も増え続けることが予想される。受け入れ体制の整備とともに、外国人観光客自身のマナーアップも求められている。